- 仮面祭 -

 この短編小説は、もとは同人誌の企画にあわせて書かれたものです。たぶん、プロ・デビューはもう諦めていた時期だったと思います。

 テーマが「仮面」「夜」「耽美」だったので、それに沿って書きました。ちょっと無理してるな、という感はあります。

 その後、パソコン通信ニフティサーブのSFファンタジー・フォーラムにアップロードしておいたところ、プロ・デビューのお話をいただき、では見本としてお読みください、と編集氏にお見せしたのがこの小説でした。

 運良く気に入っていただけ、そのまま雑誌デビュー作となりました。

 その後もオンラインで公開をつづけていましたが、当初サイトを開設していたニフティ・メンバーズ・ホームページのサービスが終了し、ニフティサーブのパソコン通信データ・ライブラリが消え、参照できなくなってしまったので、あらためて公開し直すことにしました。

 html化にあたり、改行位置を若干変更しましたが(あまりにも行数が多かったからです)、ほかは敢えて手を入れないままにしておきました。

 文章や言葉づかいに未熟な部分は多いのですが、直しはじめると止まらない上に、勢い余って物語の流れ自体を変えてしまいかねず、かつてこの物語を心にとめてくださったかたがたの思い出を裏切ることになっては、と、本人はわりと苦渋の決断です。直したくて、うずうずします。

 イラストレーションは、メンバーズ・ホームページ時代に【音箱】のりどるさんにお願いして描いていただいたものです。このイラストを再公開するために、今回編集し直したといっても過言ではありません。

 サイト運営も長くなり、初期のコンテンツをご覧になっていないかたも、おいでかと思います。昔からの読者のかたには懐かしんでいただければ、そしてはじめてお読みいただくかたには、こんな小説も書いていたんだと思っていただければ、幸いです。

 なお、本作は雑誌『花丸』に掲載後、短編集『仮面祭』に収録されました。当該の本は現在、版元品切れで入手困難となっております。

2006/01/18 妹尾ゆふ子