- エピローグ -

 もしもその場にいあわせた者があったならば、詩人があれほどみつめていたものをさがしただろう。

 それは、黄色い砂の上に半ば埋もれるようにして落ちている、翡翠のピンであった。

 けれど、それを知る者は、沙漠を吹き過ぎる風か、あるいは沙漠それ自体だけであった——月の女神さえ、その夜は玉座についてはおられなかったのだから。

end