語り終えると、詩人はかたわらでおだやかな寝息をたてている娘の顔を見下ろした。
彼の眼差しは、絶えてなかったほどのやさしさに満ちていた。そして、その表情には、どこかしら哀れみに似た色がさしていたかもしれない。
室内は、ぼんやりと明るかった。
窓を閉ざしている乾いた木の板の継ぎ目が、曙光を浴びてあざやかな橙色にかがやいている。ちいさなひびにも、光の筆先は見逃すことなくはしり、そこここから淡い紅色のかがやきが漏れていた。
詩人は竪琴を寝台のかたわらに置くと、静かに息を吐き、そのきらめく眼を閉じた。
そうして、流砂のほとりの街で、彼は朝を迎えたのであった。