この世界を創った種族。イーファルはその最後のひとり。
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世界の管理者種族……だが、すでに世を去って久しい。
去ったあとなにをやっているのかというと、また似たような世界を創ったり、あるいは絶望して消滅を選んだり、と人それぞれなのではないかと思う。さりげなく変化して留まった、砦の長のような存在も、複数いたはず。イーファルのように、責任感を覚えて何度も「戻って来る」のは異分子。
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古い言葉は創世の言語。〈本〉の記述にもちいられ、嘘は書けない。中でも〈真実の言葉〉は、存在するだけで力があるとされる。
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主要な〈真実の言葉〉については、the World のページを参照のこと。
異世界語を「古い言葉」と「今の言葉」の二種類記述する必要があったため、書いていてたまに混乱した。よく使った「テイ」は現代語で、特別な力はない——が、物語の流れのなかでは、いちばん力のある言葉として登場するかもしれない。「人」の世界が動きはじめているという象徴でもあるかも。
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正しく読み上げることで、臨場感に満ちた幻影を産み出す。〈古い言葉〉で記されている。
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この世界が再構築されたあと、〈本〉を書く力がある者が多少は残っていたという設定で、娯楽用の〈本〉の書き手と、その題材になることを目的に、派手に冒険してまわる冒険者の話はどうかというネタを編集者に提出したことがある。スニーカー文庫で、二冊目以降は売れ行きが悪いので無理ですねと言われ、派手な話じゃないと駄目なんだろうなぁ、と捻り出したはず。
結局、原稿を書くところまで進まないまま、今に至る。
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創世から終末までが記された、唯一の予言の書。
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この〈本〉の記述と現実のズレが魔物を生じさせ、かつまた物語の後半で登場人物の分身のようなものを発生させていた、という設定。
もっともよく登場した幻影がウルバンのものだったあたり、彼はほんとうに普通の人として生きたかったのだろうな、と作者しんみり。この現実と戦おう、変革しよう、受け入れようと心を決めているキャラクターは、滅びの流れの中に入ってしまっているので、いわば「ブレ」であるこの幻影が発生しないらしい。
初稿では、この幻影がもつ意味がわかりづらいと編集者に指摘され、喫茶店で必死に直したのを覚えている。あのときは眠かった。喫茶店で編集者の前で原稿書くのは嫌だなぁ、と思ったことも覚えている。
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もとは純粋な力で、竜という形態を得てこの世界に降臨する。古い言葉をあやつり、竜と語る異能者に与えられた位階が竜使。
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エスタシアが区切って発音しているように、もとは「デハン・イ・バガン」で竜使。つまり、「イ=存在→者」、「バガン=使う」……と設定していたはず。
ただの力(エネルギー)であるものをこの世界に導くために、用意された形態が「デハン=竜」であって、この世に呼び出された瞬間から、竜は竜としてもといた空間から分断され、個性が生じ、……まあつまり、生物のように「生き」はじめることになる。
ジェンが封印をといた赤竜は、誰かが招来した挙げ句扱いきれなくなって放置(というか封印)していた存在なので、ふつうの竜よりも時間をかけて個性が醸成されてしまっており、かなり生き物っぽい。本来なら竜使と彼我の別なく一体化するはずが、赤竜とジェンにおいては、なかなかその段階に至らなかったことの要因のひとつは、間違いなく「呼び出したのがジェン本人ではないから」というところにある。
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魔物とは、語られた世界と現実の乖離から生じた歪みが実体化したもの。〈悪夢の王〉はその首魁で、世界を破滅に導く。
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四領と王都の項で書いたように、もしSF設定にするなら、あきらかに魔物はプログラムのバグだよな……いや〈悪夢の王〉とセットでワームかな。〈憑き魂〉なんて妙にトロイの木馬っぽい? いやちょっと違うか……などと思いながら書いていた。SFにするならこうだろうなあ、と考えながらファンタジーを書いているという図式も妙なものだと思うが……。
そこまで考えながら、結局ファンタジーにしかならないあたりが、わたしのわたしたる所以なのだろう。たぶん。自分ではよくわからないけれど。
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世界を破滅の淵から復活させると伝えられる存在
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ここまでネタバレ・コメントをお読みいただければおわかりのように、最初にスニーカー文庫で『異次元創世記 赤竜の書』を出してもらったときには、わたしの脳内にエスタシアは存在しておらず、当然この〈真世の王〉という概念も思いついてはいなかった。
ではどんな話になるはずだったのかというと——実際に書かなかったのだから、そうなったかどうかはなんともいえないのだが(ほら、思ったように書くことのできない作家なので!)、同郷の少年ふたりの道が分かれて、再会したときには隔たりがあり、そして最後には敵同士に……という流れになる予定だったのだ。
たしかに、道が分かれて隔たりが生じ、最後にはジェンがウルバンに殺される話にはなったが(刺されてそれを赦す、というところまで決まっていた。考えてみれば、最初のアイディアがそこまできちんと保持されているのも、わたしにしては珍しい)、……全然違うといえば違うものだし。
出版が途切れたおかげで当時は困ったし、読者のみなさまにもご迷惑をおかけすることとなったが、結局、今のかたちで世に出てよかったんじゃないかな、とは思う。
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