孫権伝

誰にも言わないでください、凌操どの。
わたしは、戦が怖い。人が死ぬのが怖いのです
updated: 2007/07/09

「あの夜、兄様は約束してくださったのに。死なぬ、と」

 孫策の死を嘆く暇もなく、新たな君主として立たねばならない孫権。だが、孫権の目には、力は善きものとは映らなかった。玉璽を手に入れて最強となった孫策は、そのために命を落としてしまったではないか。自分はそれを、ただ見ていることしかできなかったのか……。

孫権(そんけん)
 字は仲謀。孫策の弟で、争いを好まない優しい性格の持ち主。
 史実では……後に皇帝を称した呉の君主。長く生きたが、晩年は跡継ぎの問題で家を騒がせた。享年七十一歳。
張昭(ちょうしょう)
 字は子布。天下が乱れたため、難を避けて江南に渡り、そこで孫策と出会って臣下となる。
 史実では……孫策が臨終のときに孫権を托したのを受けて、百官をまとめて孫権を主君として立て、自分はその補佐役となった。孫権を諌めるときは一歩も譲らなかった。享年八十一歳。
凌操(りょうそう)
 字は公訣。孫策の旗揚げ時から従っている勇士。後に呉を支える高名な将軍のひとりとなる。凌統の父。
 史実では……字は知られていない(「公訣」は『鋼鉄三国志』のオリジナル設定)。いつも先頭に立って戦っていたが、江夏討伐のとき矢に当たって死んだ。