what i read: 砂の覇王 5 
〈流血女神伝〉


*Cover* 書名砂の覇王 5〈流血女神伝〉
著者須賀しのぶ Shinobu Suga
発行所集英社(集英社コバルト文庫)
発行日2001.12.10
ISBN4086000385

 ドラマチック・サバイバル・ファンタジー。〈流血女神伝〉シリーズ(*1)の最新刊。読むならば必ず最初の『帝国の娘(前・後編)』から。
 本屋を五軒もハシゴして、ようやく入手。新刊の平台にあやしい空白を発見するたび、異様に燃えたあのときのわたし。

 この本の感想を書くのはとても難しい。なぜなら、シリーズものだからである。シリーズものの感想というのは、どうやったらネタバレにならないか、どこまでがネタバレでありどこからはネタバレではないのか、という点にいつも苦悩する。一話読み切り形式ならともかく、『砂の覇王』は1〜5まで、つづく! つづく! つづく! つづく! と話がつづいてきているわけで、そしてまた今回も、つづく! なのでどうしようかと。

 もっとも、巻数を重ねているというだけで「ああ、主人公は少なくともあそこまで死なないんだな」とわかるという説もある。稀に主人公の世代交代でこの予測が裏切られることもある。
 ああ、ちっとも本の感想にならない!(絶叫)

 逃げていてもしかたがないので書くことにしよう。ネタバレだと思われたかたには、たいへん申しわけない。
 途轍もない運命の変転を経て、久しぶりに祖国を訪れたカリエだが、とんでもない事態に巻きこまれてしまっていた。
 苛烈な生い立ち、自分の望みを徹底して追い求める人生、先を見据える眼差し。そうしたものに、この物語は満ちている。誰もが自分だけの目標を持ち、そこに向かって邁進しているのだ。そのためには手を汚すことも厭わない。他人を呪うことも、陥れることも。そして、それでもそのどこかに、人を想う心があり、気もちが通じ合うことがある。憎悪が激しいほどに、情愛もまた深い。思いきりのよさ、思いきれない心の切なさ、そうした、なんによらず「激しい」ものが描かれている。
 だからこそ、この物語は底知れぬパワーに満ちているのではないか。

 これくらい抽象的なことばかりなら、ネタバレにはならないかな。

 もちろんヒロインのカリエもクイーン・オブ・パワーという感じで、踏まれても蹴落とされても決してめげないバイタリティの権化のような少女なのだが、今回の白眉は、バルアン相手に大見得を切るシーンであろう。かっこいいぞ、カリエ!

 とりあえず、小説自体はいつもと同じクオリティで、安心して、しかしハラハラしながら読める出来栄え。

 難を言えば……わたしの個人的な贔屓キャラであるエドの出番が少なすぎて……哀しい……。
 しかも、剣が強いのが取り柄なのに、どうも引き立て役として使われるパターンが多いのも、哀しい……。(ちょっと泣き崩れる)

 ともあれ、次の巻の刊行を待ち望む気もちに偽りはない。たとえエドの出番が少なくとも! なんか情けなくとも!

*1流血女神伝
 さすがに六冊いちいち書くのも面倒なので、上のリンクはシリーズ名でのサーチ結果へ。直前の巻である『砂の覇王 4』の感想は下からリンク。
 →感想

読了:2001.12.10 | 公開:2002.01.06 | 修正: -


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