で、『風俗の人たち』(
*1)をみつける前に探していた『AV女優』(小林信彦氏の著書(
*2)でほめられていたもの)が平積みになっているのを発見。さっそく購入して読みふける。
おもしろいなあ。
文章がいいのはもちろんだけど、インタヴュアーとしての資質がとびぬけているんだと思う。
本のなかにあらわれる女優さんたちは、あっけらかんとしていたり、不機嫌だったり、嬉しそうだったり、あるいは「営業」入っていたりするのだろうけれども、とにかくよく語っている。と、思う。すくなくともそう読める。
これだけ語ってもらうためには、聞き手がよほどうまくなければならない。聞き出すのではなく、なんとなく話させてしまうという雰囲気がなければ無理なのではないか。
同じようなインタヴューの仕事がわたしに来たとしたら、こんなにたくさん喋ってもらえるだろうか。無理ではなかろうか。
著者はおそらく、無神経なことを言わない人なんだろうな、というイメージを持った。
たとえば、川村弥代生氏へのインタヴューでは、おいおい、と思うような質問がいくつも飛び出しているのだが、それにいちいち自分でツッコミが入っている。いつもはこんな質問はしない、等の文章も合間に入る。
で、この程度の質問って、おそらく「これは無神経なことを訊いてしまった」とも思わずに世のオジサンがたがぶっぱなしていそうな内容だったりするのだ。
このインタヴューのみ、妙な質問がとびだしているのは、相手のとけないバリアを崩そうとしての捨て身の試みだったのか、それとも自分が嫌われていると思ってのことなのか、真相はもちろん一読者であるわたしにはわからないが、とにかく、インタヴュアーとしての頑張りなのだろうなあ、と思った。
……等々、インタヴュアーである永沢氏への感想をここには書いたが、インタヴュー内容の方はここにまとめて感想を書くのが難しいほどの量と質なので、興味を持たれたかたはぜひ実際に読んでみていただきたい。
どうして平積みになっているのかとふしぎに思ったが、本の帯をよくよく見てみると『AV女優 2』が出版されたらしい。連動してのフェアなのか? わたしが手にしたのは1999年7月の第五刷である。出版からたったの一ヶ月で五刷とは、すごい。
なお、インタヴューされている女優さんのお名前を以下に挙げておく。目次掲載順・敬称略。
冬木あづさ/吉沢あかね/希志真理子/藤岡未玖/森川いづみ/幸あすか/有賀ちさと/白木麻実/川村弥代生/沢口梨々子/姫ノ木杏奈/小沢なつみ/有森麗/卑弥呼/桜井瑞穂/片桐かほる/藤田リナ/沙羅樹/永嶋あや/安藤有里/風吹あんな/細川しのぶ/倉沢まりや/美里真理/水野さやか/日吉亜衣/南条レイ/桂木綾乃/森川まりこ/宏岡みらい/氷高小夜/白石奈津子/栗田もも/中井淳子/山口京子/観月沙緒里/白石ひとみ/片山唯/刹奈紫之/松本富海/柚木真奈/川上みく
付記:これを整形しなおしている2002年の時点で、続刊となる『
AV女優 2 おんなのこ』が刊行されている。→
感想
- *1『風俗の人たち』
- 『AV女優』と同じ著者による、風俗産業に従事する人々へのインタヴュー。『AV女優』とは違い、仕掛け人としての男性へのインタヴューも含まれているあたりで、かなり趣を異にする。
→感想
- *2小林信彦氏の著書
- 『読書中毒 ブックレシピ61』のこと。二十代前半くらいだったか、小林信彦氏の著作を集中的に読んだ時期があって、それ以後すっかりはなれていたのだが、久しぶりに読んだら、やはりこのひとは凄い! と唸らされた。
→感想
読了:2000.06.24 | 公開: | 修正:2002.08.10