小林信彦氏のブックガイド本(
*1)で『AV女優』(
*2)がとりあげられていたので、ああ、やっぱりあの本買えばよかったなあ……と思いながら書店の棚を眺めていたら、同じ著者の別の本があったので、とりあえず買ってみる。
読みはじめたらとまらないのだこれが。
扱っているものが「風俗の人たち」で、わたしのように平凡な主婦的日常を送っていたら垣間見ることのできない世界をのぞき見させてくれるというのもあるだろうが、文章のテンポもすごくいい。ぽぽん、ぽぽん、と読ませてくれる。
いやー、おもしろかった。
どんな本かというのをひとことで言えば、さまざまな「風俗」産業に携わる人々のインタヴュー集というところか。これがほんとうに「さまざま」で、人間っていろんなこと考えるよねえ……と、呆れるより感心してしまう。
しかし「風俗」も身体が資本だから、派手に稼いでも稼げる期間が短いという意味では、スポーツ選手みたいなものだと感じる。かれらの老後はどう設計され、実際に、どう過ごされることになるのだろうか。
無論、運命の変転など、どんなみちを選んでも避けられないことだけれど、あきらかに「安全路線」とは違う方向を選んだ場合、どうなっていくのかにも、少し興味がある。
以下に、本書でとりあげられている「風俗」業を、目次から引用する。目次掲載順、重複するものは除いた。
テレクラ/SMクラブ/美療マッサージ/本番ストリップ/女装プレイ/ロリコン/ダッチワイフ/ホテトル/ニューハーフ/幼児プレイ/吉原ソープ街/性感マッサージ/ダイヤルQ2/シリコンボール/ボンデージ/ピンサロ/ホストクラブ/売春ストリート/レズバー/マナ板ショー/チョンノマ/女装マニア/ゲイバー/AV女優/個室割烹/女性風俗ライター/イメクラ/ゲイ・タウン/歌舞伎町/変態クラブ/投稿写真/ブルセラ・ショップ/女子高生/ふんどしパブ/お見合いパブ/ストリップ/ボディ・ピアッシング/枕芸者/ピンク映画/SM女王様/SMショー/外人ホテトル/AVとストリップ/カップル喫茶/ビデオ相互鑑賞会/ホモ映画館/ボックスサロン/デートクラブ/ソープランド/渋谷道頓堀劇場/新宿二丁目の病院/素股プレイ/女子高生売春/立ち飲み屋/のぞき部屋/韓国式エステ/グランドキャバレー/ソープ嬢
サーチ・エンジンからこれらの検索キーワードでおいでになったみなさん、すみません。この本はおもしろいので、ぜひどうぞ。
- *1 小林信彦氏のブックガイド本
- 『読書中毒 ブックレシピ61』のこと。さまざまな書籍が紹介されているが、非常におもしろい。……と自信満々で書いてみたものの、同時期にもう一冊、『〈超〉読書法』という、これも同氏によるブックガイド系の本を読んでいるため、ひょっとするとこちらで紹介されていたのかも……。
→感想
- *2『AV女優』
- 『風俗の人たち』と同じ著者による、AV女優42人へのインタヴュー集。読みごたえがあり、非常におもしろい。
→感想
読了:2000.06.02 | 公開: | 修正:2002.08.10