what i read: 〈超〉読書法


*Cover* 書名〈超〉読書法
著者小林信彦 Nobuhiko Kobayashi
発行所文藝春秋(文春文庫)
発行日1999.05.10(1996.05/文芸春秋)
ISBN4-16-725608-8

 先月読んだ『読書中毒 ブックレシピ61』(*1)があまりにもおもしろかったので、探して買ってくる。小林信彦おそるべし。小説しか読んだことなかった(それも最近読んでいなかった)、自分の迂闊さが悔やまれる。こちらもまた、すばらしいブックガイド本。
 ……昔のように翻訳ミステリーをもっと読む体質だったら、ほんとに悔しかっただろうなあ。この本に早く気がつかなかったことが。
 と、言うくらい、ミステリー好きは要チェック。幻想文学やホラーについても(ミステリーほどの頻度ではないけれど無視できない量)ふれられている。
 三部構成だが、書き下ろしの第一部がやはりもっとも力のこもった、まとまった読みものとなっているように思う。ああそうだよねえ、とわたしごときがおこがましいが、でも深くうなずきたくなる「本や小説というものへの傾倒」が語られていて、とてもいい。
 つまり、ぼくは〈本を読める空間〉をお金で買ったわけです。グリーン車の定期券はぼくの収入からみれば高いものですから、他人はゼイタクと見るかも知れませんが、ぼくにしてみれば〈当然の買い物〉なのです。(p.20)
 エンタテインメントとしての〈面白い本〉の探し方というのは本当のところ、数多く読んで経験をつみ、勘を良くするしかないと思います。
 しかし、一般読者にはそんなヒマがない。(p.31)
 などなど、当たり前(わたしにとって)だけどあんまり明文化されているのを見たことがない文章が、ズバーッと書かれていて気もちいい。
 二部、三部は雑誌の連載をまとめたもので、ことに三部は「読書日記」の体裁なので、一部ほどの「全体がまとまってうねってくる」感じがない。が、とてもとてもとても参考になることに変わりはない。
 第一部は「本に対する姿勢」というような総括論(それを肩ひじはらせずに読ませてくれる)、二部と三部は実際に個々の本をとりあげての書評になっているので、具体的なご利益があるのは二部以降と考える人も多いだろう。
 でもわたしは第一部が好きだなあ。読んでいて、とても嬉しくなった。なぜそんなに嬉しいのかはよくわからないのだが。

*1読書中毒 ブックレシピ61
 同じく小林信彦氏によるブックガイド本。非常におもしろい。  →感想

読了:2000.06.01 | 公開: | 修正:2002.08.10


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