what i wrote: [2001/06/15]

*W* 歯医者通い *W*
---
[2001/06/15]

 実は三月頃から、右上の方の歯と歯のあいだに隙間を発見していた。舌でさわると、妙に削れたような感じがするので、これはもう虫歯に違いないと確信していたのだが、ちょうど子どもが春休みで家にいたので、新学期が始まってからにしようと思った。

 ところが新学期が始まる直前にいきなり大病を患ってしまい、虫歯どころではなくなった。そしてそのあとは、仕事の〆切が迫ってきて、やはり虫歯どころではなくなってしまったのである。

 その間、右上の歯をかばって左でものを噛んでいたら、左下の奥歯がいやに「しみる」ようになってきた。とくに冷たいものがよろしくない。で、今度は左下をかばって右でものを噛むようになったら、覿面である。歯が欠けたのだ。

 前回書いたように、著者校正の〆切前日に欠けてくれたので、これはどうも〆切の神様にご高配いただいたに違いないと思う。ありがたや、ありがたや。

 歯医者に通いつめねばならないのだと思いこんでいたら、初回、削ってレントゲン撮影して型取りして仮詰め。二回めに仮詰めをとって金属をかぶせて歯科衛生士に正しい歯の磨きかたの講習を受けて歯石をとってもらって、完了であった。

 欠けた歯は無論虫歯だったのだが、しみる歯の方は「知覚過敏」だそうである。これはなかなか治りませんと言われた。知覚過敏用歯磨き等を使うと症状が軽減される「場合もある」そうだ。

 また、二回めの治療のとき、歯科衛生士のかたに

「虫歯になりづらい体質みたいですね。そういう人は、歯周病になりやすいんですよ」

 と、ありがたくない予言を賜った。そういう予言をしながら、そのひとは歯石取りをしてくれたのだが、これが痛い。永遠に終わらないのではないかと感じるほど熱心な仕事ぶりであった。くちびるの両端がしばらく痛かったのは、無理な角度で器具をつっこんでグリグリとやってくださったからであろう。痛いってば。

 しかし口は動かせないので、無言で顔をしかめることしかできない。へたに動かすと、もっと痛いことになりそうだし。

 もうじき再校が出てくる『チェンジリング』の続刊は、番号がつかないことになった。これは読者様を騙して買わせようという意図ではなく、取次さんに、より多い部数をとってもらい、配本してもらうための苦肉の策である。

※解説:ベストセラーならともかく、あまりよろしくない売れ行きの本の番号つき続刊は、番号が嵩めば嵩むほど取次さんがとってくださらなくなるのである。すると、書店店頭に行き渡らせることが難しくなる。出版社側も、取次さんが提示した数字に応じて刷り部数を決める場合があるので、そもそも初版の冊数が少なくなったりもする。よって、流行作家ないし基礎体力が異様に高い出版社(しかし不況の現在、そういう存在は稀少である)以外は、番号つきの連続刊行がしづらい、という現象が発生する。

 あとがきには「前作を読んでからとりかかってください」と明記しておいた(編集者にも、そのようにしてくださいと言われた)。が、それでも間違って買ってしまう人がいたらどうしよう。びくびく。謝っておこう。ごめんなさい。

 また、版元の都合で文庫のレーベルが変更になった。「ハルキ文庫」ではなく、今度は「ヌーヴェルSF文庫」になるそうだ。デザイン等変更されるので、本棚に並べたときに前作と違和感が生じるかもしれないが、そのー……。えー。申しわけない。

[※2001/06/21追記:実はハルキ文庫であることに変わりはなく、その中の「ヌーヴェルSFシリーズ」となるとのこと。より詳しくは6月21日分を参照されたし]

index / latest


prev * next