とても気に入ったわ、とお伝えしてね」
真上皇帝の妹で、彼の腹心であった《黒狼公》の寡婦。たぐいまれな美姫で、掃いて捨てるほどの崇拝者がいる。皇家に与えられた神の恩寵の力が強く、当代随一の能力者。伝達官に依存せず、血族であれば誰とでも心を繋ぐことができるという。つねにやわらかな物腰で、なにを考えているか読めないところがある。
第一皇子(ウォノム)
沃野王。帝国の後継者として指名はされていないが、貴族層から広く支持を集めている。
第二皇子(ウィダ)
博沙王。夭折した生母が有力貴族《銀鷲公》家の出のため、第一皇子に次ぐ勢力を持つ。遅滞を嫌い、実利を重んじる。
第三皇子(ウィルト)
皇女と同母の兄。有力貴族の後ろ盾はないが、人あたりのやわらかさと、儚げな美貌で、宮廷の貴婦人たちには人気がある。
第四皇子(ロタク)
人間関係を上下で割り切りがちで、自分より下に見た者を馬鹿にする性向がある。第一皇子を支持。
第五皇子(ウェクト)
第四皇子とは母を同じくする双子の弟。兄にはいじめられており、仲は険悪。
第六皇子(スウェス)
母が南方豪族の出身。生粋の帝国人ではないため、貴族層の支持は薄い。
第七皇子(メトゥ)
第四・五皇子と生母を同じくする、末の皇子。兄たちとは距離を置き、ことなかれ主義をつらぬいているように見える。
ラハーマ
第一皇子の母。元は、第二皇子の母シーリンの女官として嫁入りに同行した下級貴族の娘。性格に難ありで、非常に嫌われている。
センヴェーラ
十二大公家のひとつ《白羊公》家の出身。政治的野心はほとんどない。兄弟仲が悪いことは気にかけているらしい。
ニャイヤーラ
第六皇子の母。沙漠越え後、宥和政策のひとつとして皇帝が娶った、地元の藩王の娘で、南方人。