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*R* EXノベルス強化 *R*
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[2001/09/21-30],updated 2001/11/19

 編集氏に三冊ほどいただいたので、EXノベルスを一気に読む。いただかなくても買うつもりだった『イルカと私が歩く街』は大推薦。中井紀夫ここにあり! という奇妙な味が楽しめる逸品。『妖姫』は仮想日本史を扱った痛快時代劇。『聞け、魂の祈りを』は実に手堅くまとまった凸凹道中もの。どれもおもしろかった。別に、いただいたからというわけでなく。

 梨木香歩氏の『丹生都比売』は、しんと静まりかえった景色、心が痛くなるような純粋な、「製錬された」ような物語。姫神降臨シーンの神秘性には圧倒される。

 同じく児童文学畑で高い評価を得ている上橋菜穂子氏の『月の森にカミよ眠れ』は、高い完成度を誇る歴史小説。著者の史観に裏づけられた作品世界の完成度は高く、隙を感じない。

 この十日はやけに読んだが、唯一の非小説本である『名前のアルケオロジー』は、名前の魔法に興味がある人には無条件でオススメできる文化人類学系書籍。中盤が、他者の説への反駁に費やされていて、その「他者の説」の方を熟知していないせいで、ややタルかったかなあ、とは思うが、しかし、おもしろかった。

 牧野修氏の『呪禁官』はハイパー・ホラー・オカルト・アクション・科学・学園・友情努力勝利。今までに読んだ同氏の作品中、もっとも「爽やか」。氏の作品にわたしが魅力を感じるのは、トリック・スター的な人物が冒しがたい神性を顕現させるシーンの描写であり、この作品でも結末近辺にすばらしい場面が。

 シリーズ化を前提としている『KLAN I』はアニメ化を前提としているそうで、設定とキャラ立てがメインで、物語の流れはやや散漫な感じ。『双色の瞳』の霜越かほる氏が続刊執筆を担当されると聞いて購入したのだが(氏が書かれた2巻はもう出版済み)、聞いたところによると、続刊は霜越氏のみが書かれるわけではないそうだ。なんだとー? シリーズ化前提と言えば、『リバースド・ヘヴン』もそんな感じで、風呂敷を広げたところで終わった感がある。続刊はあるのだろうか。

 シリーズもの続刊。『ブギーポップ アンバランス』は、いつもの通り、予測したクオリティで予測しない物語を提供。『東方ウィッチクラフト 螺旋舞踏』は、来月にはもうシリーズ三冊めが刊行されるらしい。これも期待通りのハイ・テンションをたもっている。

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EXノベルス強化: 2001/09/21-30 (updated 2001/11/19)
C Nイルカと私が歩く街中井紀夫エニックス(EXノベルス)2001.10.05
F聞け、魂の祈りを
〈彷徨い人の詩〉
立原透耶エニックス(EXノベルス)2001.06.29
F妖姫
 贄の刻印
矢彦澤典子エニックス(EXノベルズ)2001.02.09
O名前のアルケオロジー出口顯紀伊国屋書店1995.09.25
Nブギーポップ・アンバランス
 ホーリィ&ゴースト
上遠野浩平メディアワークス(電撃文庫)2001.09.25
FKLANクラン 1田中芳樹集英社(集英社スーパーダッシュ文庫)2001.07.30
C F呪禁官牧野修祥伝社(ノン・ノベル)2001.09.10
F月の森に、カミよ眠れ上橋菜穂子偕成社(偕成社文庫)2000.10
偕成社1991
C F丹生都比売梨木香歩原生林1995.11.20
F東方ウィッチクラフト
 ―螺旋舞踏―
竹岡葉月集英社(集英社コバルト文庫)2001.10.10
Fリバースド・ヘヴン彩院忍角川書店(角川スニーカー文庫)2001.10.01
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