what i read: 2001/03/11-20

　新人賞の受賞作を二本、読んでみた。

『ウィザーズ・ブレイン』は銀賞受賞作。滅亡に瀕した世界を舞台に、「情報」を書き換えることで途方もない戦いを展開する魔法士や騎士、都市にすがってわずかに生き延びた人々の姿を描く。ベタではあるがツボを突いた展開で、安心して読める。もうすこし個性が出てくればと思う。

　もう一作の『天国に涙はいらない』は、『陰陽の都』と同じ金賞の受賞作。ロリコン天使と霊媒体質の青年、意図せず大量殺人をしている善良な悪魔の少女らが織り成すコメディ。記号化されたキャラクターが、いっそみごと。不条理感すら漂うオチには唖然とする。

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『炎の妖精使い』もある意味ベタな展開。謎の美少女、壊し屋の主人公、気どった知り合いに意味深な悪役、過去のオーバー・テクノロジーを秘めた遺跡……と、なんでも来いな感じ。手慣れた感じで楽しく読める。

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　合間にいきなり雰囲気がまったく違うエッセイを一冊。『ロンドン骨董街の人びと』は、とかく美化されがちな英国を欠点もその美点も双方を見つめ、淡々とした筆致で描きだした作品。三月中旬、イチオシの一冊。

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