what i read: 2001/03/01-10

*R* 夢と現実と *R*
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[2001/03/01-10],updated 2001/04/24

 不意に読書量が復活。

 タイトルに「夢」とついた本を二冊。『詩人の夢』は『紫の砂漠』の続編。相変わらず、ロマンティック・ラヴを表面的に否定し本質的に肯定するというアンヴィバレンツな作品で、好きなのに気もち悪いでも好きだが釈然としない……。そんな風にしか言い表し得ない。

天界を翔ける夢』はSF設定だが、本質はロマンス、ミステリ仕立て。

こんなに緑の森の中』は夢と現の狭間で揺らぐひと夏を描いた佳作。泣けた。

 夢と現の狭間といえば、戦争という状況もそれに近いかもしれないと思ったのは『本当の戦争の話をしよう』を読みながら。平和なアメリカから戦争中のベトナムへ。非現実的な世界に叩きこまれた若者の姿は不条理ものに近い。シュールな世界を淡々と書いた短編集。

 限りなく復刊に近い再版『ジョナサンと宇宙クジラ』は昔、幾度となく読み返したこれも泣ける短編集。今となっては時代を感じるSFだが、猫好き犬好きクジラ好き、センチメンタル好きにお勧め。

伝説は永遠に 2』は著名作家の人気シリーズの外伝アンソロジー。『フィーヴァー・ドリーム』や『サンド・キングス』が邦訳されているJ・R・R・マーティンの「放浪の騎士 七つの王国の物語」が素晴らしくリアル。このシリーズの邦訳を切に望む(でも売れないような気がする)。

 昔は、ほんとうに好きなものが必ず売れるようになったものだが、最近は、ほんとうに好きなものは必ず売れない。なんでこんなに世間様と評価軸が離れてしまったのか。哀しい。

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夢と現実と: 2001/03/01-10 (updated 2001/04/24)
N詩人の夢松村栄子角川春樹事務所(ハルキ文庫)2001.02.18
N天界を翔ける夢デニス・ダンヴァーズ
(川副智子:訳)
早川書房(ハヤカワ文庫SF)2000.11.30
CIRCUIT OF HEAVENDennis Danvers
1998
Fこんなに緑の森の中谷山由紀朝日ソノラマ(ソノラマ文庫)1998.11.30
N本当の戦争の話をしようティム・オブライエン
(村上春樹:訳)
文藝春秋(文春文庫)1998.02.10
文藝春秋1990
THE THINGS THEY CARRIEDTim O'Brien
1990
Nジョナサンと宇宙クジラロバート・F・ヤング
(伊藤典夫:編・訳)
早川書房(ハヤカワ文庫SF)1977.06.15
JONATHAN AND THE SPACE WHALE
And Other Stories
Robert F. Young
1962
C F伝説は永遠に 2
〈ファンタジイの殿堂〉
ロバート・シルヴァーバーグ:編
(幹遙子・他:訳)
早川書房(ハヤカワ文庫FT)2000.11.15
LEGENDSedited by Robert Silverberg
1998
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