徳間デュアル文庫創刊 | ||
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[2000/09/01-10],updated 2000/10/09 | ||
まずは SF 大会の名残りで鏡花の『外科室・海城発電 他五篇』を読む。ファンタジー臭はナシ。がっかり。 ▼ 上遠野浩平氏の今年の刊行ペースはかなり凄いと思うが、ブギーポップのシリーズ外でいちばんおもしろいと感じたのは、デュアル文庫の創刊ラインナップに入ったこの『ぼくらは虚空に夜を視る』。現実/虚構ネタ自体はディック等、過去にいくらでも例があるんじゃないの?……と思うが、どこの感想でも映画『マトリックス』への言及がある。それだけ『マトリックス』が衆知の作品だということだろう。 ▼ 刊行ペースでいえば、荻野目悠樹氏も凄い。デュアル文庫で田中芳樹氏と連名で『野望円舞曲1』も上梓、スニーカーからの『双星記1』と相次いで書店店頭に並んだのにはおどろいた。前者は未読なので比較対照不能。 ▼ 同じくスニーカーの『カラワンギ・サーガラ 完全版1』は長らく版元品切れ状態だった作品に、雑誌掲載の外伝を含めて再刊したものだという。ヤフー・オークション等で高値がついていたらしい。呪術的な世界観に支配された惑星を舞台にした SF で、設定のたくみさもさることながら、多数の登場人物を描きわけ、群像劇としてうまく機能していることも評価したい。再刊を機に新たな読者(わたしのような)が増えることを希う。 ▼ 『天翔けるバカ We Are The Champions』は『天翔けるバカ Flying Fools』の続編で、完結編である。欧州大戦を舞台にした航空もので、飛行機騎士道の栄光と近代戦争の開始、そして凋落をおバカなテイストで描いた快作。騎士道の体現者として描かれたリヒトホーフェンをはじめ、実在の「天翔ける騎士」たちが多数登場する。 ▼ 『EDGE 〜エッジ〜』はプロファイラー主導のサイコ・スリラー×超能力ロマンスといった風情。サイコさんの描きかたがうまい! 超能力とロマンス部分がいささか唐突で、説得力を減じているように感じられたのが残念。 |
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徳間デュアル文庫創刊 : 2000/09/01-10 | ||||
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N | 外科室・海城発電 他五篇 | 泉鏡花 | 岩波書店(岩波文庫) | 1991.09.17 |
N | ぼくらは虚空に夜を視る | 上遠野浩平 | 徳間書店(徳間デュアル文庫) | 2000.08.31 |
N | 天翔けるバカ We Are The Champions | 須賀しのぶ | 集英社(コバルト文庫) | 2000.09.10 |
N | 双星記1 千年に一度の夏 | 荻野目悠樹 | 角川書店(角川スニーカー文庫) | 2000.09.01 |
N | EDGE 〜エッジ〜 | とみなが貴和 | 講談社(講談社X文庫ホワイトハート) | 1999.10.05 |
N | カラワンギ・サーガラ 完全版1 密林の戦士 | 津守時生 | 角川書店(角川スニーカー文庫) | 2000.09.01 |
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