象形文字 | ||
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[2003/10/03] | ||
「やっぱり二冊にしましょう!」 そう来たか。いえ、ありがたいことです。頑張ります。 ▼ わたしがかよった中学は新設校で、当初、教師の数がたりなかった。音楽の先生が家庭科も受け持ったり、体育の先生が歴史も教えていたりした。 書道を担当したのは、美術の先生だった。今思えばデザイン系が専門だったらしく、中学生相手に、長時間ポスターの画面上に目を留めさせるデザインとは、なんて説明もあった。 美術の先生が書く文字は、たしかにきれいだったが、頭のかたい中学生だったわたしは、違う科目の先生が教えるなんて変なの、と思っていた。 ▼ 『感じの漢字』(高橋政巳/扶桑社2003)という本を書店で見て、手元に置いておきたくなって購入した。ちょうど、いま書いている物語の世界はたぶん「象形文字」を使っているだろう、という気がしていたせいもある。 書家であり刻字家でもある著者による、漢字の本。古代の文字を現代的なセンスで洗い直したその佇まいから、字源がストレートに伝わってくる。一ページずつ額にいれて飾りたいような「書」の力に、魅入られる。 ▼ 長い年月をかけて変化し、字源もいつか失われて――それでも伝えねばならないなにかを抱きつづけて、漢字は育ってきた。原始のデザインである象形文字は、今も生きている。 美術の先生が書道を教えるというのも、そう間違った采配ではなかったのかもしれない。 ▼ わたしも古代の人に倣って、及ばずながら文字をデザイン中。とはいえ本人の感覚では、能動的に考えているのは二割、作中人物が勝手に教えてくれるのが八割というところ。頑張れ現地の人。 |
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