what i wrote: [2001/07/27]

*W* これはファンタジーではない *W*
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[2001/07/27]

 前回の近況を公開したあとで、瀬名秀明氏が「SF系日記更新時刻」に載っている日記をすべてお読みになっていたことを知る。……ここもかー! なにかご参考になったのだろうか。

 この話題の効率よいまとめは【見下げ果てた日々の企て】の2001/07/212001/07/23あたりに。

 問題を自分に引き寄せるため、「これはファンタジーではない」に置き換えて考えてみた。……で、十年近く前のことを思いだした。

 持ち出されるのが不快なかたもおられようと思うので、作品名は伏せるが、ある本について、「ファンタジーではないと言われたが、どこがそうなのか」というような発言が、@niftyのSFファンタジー・フォーラムでなされたことがあったのだ。

 その作品は、わたしの表現で言うところの「ファンタジーのファン・ライター」ではない作家さんが書かれたものだった。そして「ファンタジーではない」という評価に反発したのも、ジャンルのファンではない、いわば「外部」の人であった。

 途中からは会議室上ではなく、メールでのやりとりになった。当時のログは手元にないが、たしか、以下のような話をした。

  • 「ファンタジーではない」と言われている作品を、自分はそうは思わない。つまり、「ファンタジーである」と思う(ただし、前半/後半に分けて、前半は異世界青春小説、後半はファンタジーというような評価をした記憶がある)。
  • 要するに「ファンタジーである/ない」は個人の価値観に深く依存する。
  • あなたがその評価にひっかかるのは、「いやこれはファンタジーだ」と言い返すに足る、確固たるファンタジー観がないからではないか。
  • ファンタジー観を育むためには、人の意見を聞いてもしかたがない。個々人で基準が異なるため、混乱を招くだけだからである。
  • とにかく実際に本を読んで、自分の基準を作っていくしかないと思う。

 最近、そのかたとメールを交換する機会があった。以前の経緯も踏まえ、ファンタジーはお嫌いだろうと思うのですがと書いたところ、あれからいろいろ読んで、今では自分なりに楽しめるようになったというお返事をいただいた。

 社交辞令もあるかもしれないが、ここはそのまま受けとりたい。いろいろあっても、今、ファンタジーを楽しく読んでくださっているなら、そんなに嬉しいことはない。

 いろいろ考えたが、まとまらないので、とりあえず、思いだしたことだけ。

 わたし自身の「これはファンタジーではない」系発言は、旧近況の1999年12月近辺とか。

 いま読み返してみると、ファンタジーではないというより、世界観がきちんとしていないと感じる理由の説明だなあ、これはしかし。

 ところで瀬名氏のサイトの新着情報、7月23日の記事はいずれ流れて消えてしまうのだろうか?

 大阪の福家書店さん(福家書店 阿倍野店/大阪市阿倍野区阿倍野筋3-10-1)で、サイン本を置いてくださるそうだ。サイン本? おぅ、返本できませんな(揉み手)。五冊。ぜんぶ売れますように。ぱんぱん(例によって柏手)。

 あー、手書きポップとかいうのも書いたので、近郊のかたはご笑覧くだされ。二枚。ひとつはうさぎの柏手、ひとつは本邦初公開、著者本人初描きのリンのカットつき。てへ。ボールペンでびっしりカケアミ。楽しかったなあ。無論、金田絵師の絵には遠く及ばないが、稀少価値ということで許されよ。

 で、そのサイン用の本とポップを、編集部から届いたその日に返送して、自分で自分に満足していたら、……あっ。うっ。なんてことだ。サインしてない本を送ってしまったーッ!!
 これはもうウッカリというよりむしろドッカリ……。

 すみません、本日中にちゃんとサインを入れた本を送ります……>編集部

 わざとじゃないんだ、ナチュラルにウッカリなだけなんだ。だけどこんなダイナミックなウッカリ、誰が信じてくれようか。でも嘘じゃない。嘘か冗談ならどんなによかったか。またなんてみごとな、わたしっぷり……。泣けてくる。(フェードアウト)

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