生涯一ファン・ライター | ||
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[2001/07/24] | ||
ときに、自分の本質は、ファン・ライターなのではないかと思う。「ファンタジー」というジャンルのファン・ライター。 今までに読んできた小説そのほか、ファンタジーと名のつくもののファンだから、そのジャンルらしさを大切にしたいと念じ、そういうものを書く。自分がやっているのは、そういう種類のことではないだろうか。 ▼ ずいぶん前に――たしか中学生だったと思うから、もう二十年も前のことだが、松本零士氏の『銀河鉄道999』にハマり倒し、帽子の先端からでもメーテルが描けるようになった時期があった。それで、得意になって姉に見せると、 「どんなに上手に書いても、真似っこはぜったいに本物を超えない」 というような内容のことを言われた。「真似」は「本物」に似ているか否かが出来不出来の基準になる。技術的に「本物」を上回ることがあったとしても、それは却って「本物」から遠ざかることになり、「真似」としては失敗になる――というような理屈だったと思う。そこまで言われたか、自分で考えたかは記憶にないが。 姉は滅多にそういうことは口にしない人なので、印象に残った。 ▼ 昔の人が言ったように、芸術がすべて自然の模倣であるならば、いかなる創作活動も、現実にあるものを超えることはできない。だが、そこに実際にあるものをどう解釈するかの手助けくらいにはなるだろう。理屈ではなく、心に染み入るように。それが「物語」というものではないだろうか。 たとえ過去の偉大な作品群を超えることがなくても、同じ時代を同じ国で生き、同じ言語で考える人のために、古いものの装いを変え、よみがえらせることはできるだろう。 最近は、そんなことを考えている。 |
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