文字の夢 | ||
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[2000/10/10] | ||
たしか小学生の頃だったと思う。大阪に住んでいたから、三年生から五年生のあいだだろう。続編のある夢をみた。 どれくらいの期間を置いてみたのかは、よくわからない。 二回めに夢をみたとき、まず「続」という大きな文字が表示されるところから入ったことが、夢の本編より印象に残っている。 わたしの味方であるはずの熊や鹿などの動物たちが、魔女の力で石に変えられていく。そこでまた画面がひらたくなり、文字が浮かぶ。一日目……熊、二日目……鹿、といった具合に、石になる動物の名が各章の見出しになった、それは目次か目録のようなものなのだ。 ▼ モノクロの石版画のようなざらついた画面で、物語は淡々と進んだ。目次やタイトルのほかにも文字で表示される場面がいくつかあったように思う。あるいは、挿絵風の静止画であるとか。 もはやそうした印象しか記憶には残っておらず、結末は忘却の河を流れ去って久しい。特徴だけ書けば『ライオンと魔女』のようだが、当時は少しも連想しなかった。 ▼ 石になっても動物たちはわたしを守ってくれているのだと、石像にすがって泣くシーンがあったような気がするが、目覚めてから自分で後づけした物語であるようにも思う――夢が残した不安を癒すために。 |
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