移動時に本が読めない夏休み | ||
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[2001/08/01-10],updated 2001/09/24 | ||
二冊しか読まなかった十日間。よく考えてみれば、夏休みの家族旅行で家にいない日が多かったのだ。昔は電車の長時間移動といえば本、泊まりがけの旅行といえば本だったのだが、子どもが幼児だと本を読む暇などなし。 ▼ メリングの『夏の王』は、『妖精王の月』の続編。妖精たちが、自分たちに都合の悪いことは言わなかったりして、主人公に、それと知らずひどく危険な行為に手を染めさせられたりするあたり、いかにも妖精らしい存在とのかかわりを描いている。うまい。殊に導入部が素晴らしい。この幻想的な描写だけでもうなにもかも許せるほど。 個人的には、拙作の『チェンジリング』とかぶる部分が多くて困惑した。無論、まったく違う部分も多いのだが(たとえば主人公のキャラクター性とか)、やろうとしていることが近いというか。印象を言っているに過ぎないが。 ▼ 『傭兵ピエール』を読んでから、ほかの本も読んでみたいと思っていた佐藤賢一氏の『赤目のジャック』は、ジャックリーの乱と呼ばれるフランスの農民一揆を題材にとった、人間の心の暗部を暴きたてる一作。ストーリーも描写もハード。 |
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移動時に本が読めない夏休み: 2001/08/01-10 (updated 2001/09/24) | ||||
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C F | 夏の王 | O・R・メリング (井辻朱美:訳) | 講談社 | 2001.07.30 |
THE SUMMER KING | O. R. Melling | 1999 | ||
N | 赤目のジャック | 佐藤賢一 | 集英社(集英社文庫) | 2001.05.25 |
赤目 ジャックリーの乱 | マガジンハウス | 1998.03 | ||
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