散る梅 | ||
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[2001/03/24] | ||
梅の花が風に散る。 白い花びらが、くるくるとアスファルトの上をころげていく。まるで輪回しの輪のように、ときどき軌道をふらつかせながら、それでも倒れずにころがりつづける。 おもしろいなあ、と思ってしばらく眺めていた。 ▼ そういえば、梅の花を意匠化するときは、花びらを円形にする。あれは現物を反映したデザインだということに、とふと気がついた。 桜の花びらが、こんな風にくるくる回っているところは見たことがない。それは桜の花びらが梅のようには円くないからで、デフォルメするときもやはり円形にはしない。 なにかの「らしさ」を出すためには、仔細な観察が必要なのだな、とぼんやり思う。 ▼ なんにせよ、風が吹くたびに一斉にはじまる輪回しは、なかなか壮観。 風は、ほころびはじめた沈丁花の香りを含んで街路を駆け抜けてゆく。見上げれば、白い木蓮の花弁が、眠りから醒めた風情で空へ伸びあがっている。 春だなあ。 |
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