異世界ファンタジーという言葉 | ||
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[2000/12/22] | ||
便宜上、「異世界ファンタジー作家」と名のっているが、実は、自分の書くものを「異世界」の話だとは思っていない(唯一の例外が〈異次元創世記〉。あれは狭義の異世界を扱っている)。 あれらは「今ではない」、「ここではない」、「どこか」を舞台にしているというだけであり、イコールで「異世界」と結ばれるものではないのだ。 ▼ 「この国はどこでしょう、地球の既知の歴史の範囲には存在しません、非常識な魔法もまかり通ってるし。だから、異世界なのでしょう」 たしかに理屈である。だがそれは、現実に即した知識で説明し得ない非日常を 「異世界だから、常識的に考えると変なことがいろいろあっても、しかたがない」 という卑近な論理で貶め、その作品世界が本来持ち得るファンタジーとしての価値をそこなう第一歩につながる思考法である。 いくらそこに非日常があろうと、その根幹部分を日常の語彙文法科学法則にのっとるかたちで説明すれば、それはもう純然たる非日常ではなくなってしまう。 説明せざるを得ない心理は理解できるのだが、それは、ファンタジーでは「しなくていいこと」なのだ(それが必要なのは SF であるし、その説明が非常にうまくいっていれば、SF として成功した作品になるはずである)。 ▼ 今書いている話は、自分にしては狭義の「異世界」寄りの内容になると思う。 |
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