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2002/09/17 (火)

ダンディ戦隊第五話:「お子様相手の商売じゃないのさ」(Aパート/サルベージ版)
*Pink ハァイ! みんな元気にしてる? アタシよ、あなたがたのお目めの恋人、愛と美と健康の天使、ダンディ・ピンク参上! アタシが大活躍の第四話(AパートBパート)はもう読んでくれたわよネ?
 じゃ、今日はかわいくないガキが登場する第五話をお披露目よー。って言っても、例によって掲示板では公開済みなんだケド!

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 喫茶「男手射」。マスターは渋い顔をしていた。
*Red マスターの表情に気づいたユミコ憧れの常連さん(相変わらず名前がない)は、またハンサムどもがなにかしたのかい、と斜向かいのチェーン店「煩唆夢」の方に顎をしゃくって見せた。

「そうかもしれん……」
「おれで力になれることがあれば、言ってくれ」
 しかしマスターは毅然とした態度で、この話は忘れてくれと言うのだった。
「マスターがお客に相談事? わたしの美学に反するよ。逆ならともかく、な。しかし今日は、ユミコくんが遅いな――」
「給料日なのにな。お嬢ちゃん、今月は黒字なのかい?」
「それが……赤字だ」
 ふたりは顔を見合わせて、なんとも言いがたい笑みを浮かべた。
*Yumiko その頃、ユミコは落とした携帯電話を探していた。ない。電車に置き忘れたかもしれない。駅へ戻る途中、マスターに連絡を入れねばと思いつき、携帯を取り出そうとして紛失したことを思いだし、駅へ向かいかけ、マスターに連絡を(以下延々とループ)。
 ようやく「公衆電話を使う」ということを思いついたが、とっさに、どこにあるか思いつけない。ユミコは半泣きである。
「でんわぁ〜〜」

*おれさま「るっせぇなぁ。使えよ」

 さっと携帯電話を差し出したのは、ぱっと見、中学生くらいの少年である。ピュア・ハンサムのような清純さはないが、いかにもそのへんにいそうな男の子っぷりに、ワン・ランク上のかっこ良さが乗っかった、いそうでいない、微妙にニッチなポイントを突いてくる風貌である。
 今までその電話を使ってデータ通信でもしていたのだろう、PDAとケーブルをウェスト・ポーチに押しこんで、ジッパーを引きながら、ほれほれと携帯を差し出す。
*Yumiko「つ、使っていいの?」

*おれさま「使えって言ってんだろ」

 鼻をすすりつつ、ありがとうと言って携帯を手にとったが、盲点が! 喫茶「男手射」の電話番号を、ユミコは暗記していないのだったーッ!
*Yumiko「あああ、番号がわからない」

*おれさま「……あんた、頭悪いな」

 そのとき、すっと差し出された携帯電話こそ、ユミコのものだった。携帯をささげ持つ、美しい指。無意味にステップを踏むかろやかな足さばき。ぴんとのびた背筋、決まりまくったポーズ。
 ユミコと眼が合うと、相手はその美貌を歪め、頭のてっぺんから「ホゥーッ!」と雄叫びをあげた。そのままムーン・ウォークで遠ざかる男の動きに眩惑され、思わずユミコは彼を追う。
 しばらく呆然とふたりを見送っていた少年は、やれやれ、と言いながら携帯に登録された番号を呼び出した。
*おれさま「ああ、オレ。今、そっちのバイトくんがヤバげな相手についてくのを見かけたんだけど」
 そこでいかにもワルそうにニヤリと笑う。
「ひとつ、たのみがあんだよ。あの子はおれが連れ戻すから。うまくいったら、な」
 うまくいったらって、おい! と叫ぶのを無情に切って、少年は立ち上がった。

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