幼稚園の恐怖 | ||
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[2000/10/25] | ||
子供を迎えに幼稚園に行った。 あちこちで小さな生き物が暴れまわっている。幼稚園の先生は偉人である。尊敬する。 そうした小さい人たちのひとりが、園舎と園舎のあいだに立っていた。通り過ぎながら見下ろせば、右手に紫がかった濃いピンクの容器を持っている。シャボン玉の溶液入れのようだ。 そこへ、女の子が走って来た。髪の毛にリボンを飾っている。ああ、女の子っていいなあ。スカートだ。ひらひらだ。 ――と思いながらすれ違ったまさにそのとき、少女は叫んだ。 「○○くん、死んでるゴキブリあげる!」 たまげたわたしは来た方をふり返った。少女は死んでいるゴキブリを先刻見かけたシャボン容器少年に手渡しており、少年はまじめな顔で、死んでいるゴキブリをシャボン容器に落としこんでいた。 なぜ死んでいるゴキブリをコレクションする! っていうか、きみらゴキブリをじかに手でつかんでいないか、じかに! ▼ にこやかに教室から出てきた息子と手をつなぐのに恐怖をおぼえた一瞬。 息子よ、おまえはだいじょうぶか。信じていいのか? |
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