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妹尾 今回のハルキ文庫内SF文庫の企画意図というか、基本的な方向性についてひとこと。というか、ひとことならず、一席ぶっていただいても。
N津 SFという方針自体は会社的なものですが、編集部的にも「これからは第三次SFブームだ」と書店にアピールしてます。というか、私などの若手編集部が世代的に面白いものをセレクションしていったら、それが現状ではSFになるとも思ってます。
 ファンタジーブームなども、当時のヤングアダルト編集部が、面白いと思ったものを初手にやっていたら、その中でファンタジーがひっかかってきたという部分が、あるわけですが今回はそれがSFなのではないかなぁと思っています。ファンタジーブームは、一作家の一シリーズ累計一千万部いくジャンルとして、ここ10年続いてきたわけですが、それが流石に2〜3年前より疲弊してきました(ライトファンタジーがですけど)。
 一般小説でもミステリ、ホラーときて、次をどうしようか探している状態ですね。

 その中で実は「売れないから」といった形で忌避されてきたSFというジャンルが、ホラーやミステリの中で「SFとは冠していないものの」少しづつ伸びてきました。そんな中で「SF」を、厳密にSFを定義しなくても、「面白い=SF」といったような形で、出せないかと考えたのが、今回の企画意図です。
妹尾 こういった文庫シリーズを立ち上げようという企画自体はいつ頃から動いていたのですか?
N津 それは弊社社長に第一直観が降りてきたときからというとアレですが、実作業として動き出したのは、昨年の10月からでした。ちょっと大人向けのSFというのは、私と同僚のO氏が某スニーカー文庫にいたときからです。O氏はハード系、私はソフト系で、昔の角川の緑背みたいなのを読みたいなぁと思ってました。で、弊社に入ったら「これからはSFの時代だ!」という社長命令を受けまして、とにかく自分が面白いと思うものを集めてみたのが、この企画の集大成みたいなところはあります。
妹尾 その新世紀(ヌーヴェル)SFのシリーズ内における、『NAGA 蛇神の巫』という作品、あるいは妹尾ゆふ子という作家の位置づけについてのお考えをひとつ。たとえば「イロモノ」とか(笑)。
N津 少し女性向けに、ファンタジーとの境界線上のものをお書きいただけたらというのが、最初の意図でした。その意味で最初にいただいた「オンラインゲームSF」の時は、妹尾さんのイメージとも異なり、内心どうしようかと(笑)。でも今回の作品は現代の高校生的なイメージがリアルに出ていて、非常によかったです。
 本の形となってみると、それがよい雰囲気で出たんじゃないかなと思いました。某書店で、女の子が集団で手にとっているのを見て、これは勝ったなと。

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