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2002/09/18 (水)

ダンディ戦隊第五話:「お子様相手の商売じゃないのさ」(Bパート/修正版)
*blue ……遅れてくる男、ブルーだ。今日もいつものアレだが、ほんとうに長いので、挨拶はほどほどにしておこう。

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 ユミコを掠ったのはダンス麗人……ではなく、ダンス・ハンサムであった! あんまり深く考えてはいけないというか、深く考える力を奪い去るのが彼のセールス・ポイントである。全ハンサム中最強といわれる実力の持ち主で、彼のダンスを拒める者はいない。人類総低能化が彼の目標であるようだが、当人は意識していないというか考えていないというか、はっきり言うとかなりおバカさんである。
 ダンス・ハンサムはクレバー・ハンサムが開発するさまざまな麗人キットすら使わず、おのれのダンス力のみで、周囲を巻きこんでしまう。今日も彼の背後は、そのへんを通りすがったせいで巻きこまれた、哀れなバック・ダンサーで固められている!
 ユミコが導かれたのは、既にお馴染みとなりつつある、ハンサム帝国極東基地。そしてそこには、拘束衣でみずからをがんじがらめにしたクレバー・ハンサムの姿があった! クレバーの武器である頭脳のキレが、ダンス・ハンサムの霊妙なるダンスにつられることで奪われてはなるまいと、あたかも船のマストにみずからを縛りつけてセイレーンの歌声に耳をかたむけるオデュッセウスのごとき間抜け……いや、気高さだ!
「来たな、小娘。今までの恨みを晴らさせてもらおうか」
 クレバーは頭がよすぎて、過去の恨みをぜったいに忘れることができないのだ!
*Yumiko「あ……あなたは誰なの!」
 だが、ユミコはきれいさっぱり忘れているぞ! ちょっとかわいそうだ!

「とぼけるな。わたしはクレバー、おまえのドジでMOMO先生の受注をとりそこなった男だ。わたしはこの世のドジ、ウッカリ、ポカミスを憎む! そんなものが存在することは認めない」
 ここでクレバーはすこし身もがいた。ユミコに向かってビシィッと指をさしたかったらしいが、拘束衣のせいでそれができなかったようだ。
「ゆえに、それらの複合体としか思えないおまえの存在は許さん!」
「ああっ、なんだか理不尽だけど耳に痛いわ!」
 ユミコは頭をかかえてしゃがみこんでしまった。当人もドジっぷりを気にはしているのである。
「さあダンス・ハンサムよ、この女に地獄までつづくダンスを踊ってやれ。秘技、『白鳥の湖』だ! ミュージック、スタート!」
「ホゥーッ!」
 ダンス・ハンサムが奇声をあげると同時に、隠し扉から追加のバック・ダンサーがなだれこみ、音楽にあわせて激しいダンスがはじまった。ユミコとダンス・ハンサムはほとんどチーク・ダンス状態だが、その足はおそろしい速さでステップを刻んでいる。まさに白鳥の水面下でのダンスを思わせる足さばき! これではユミコの体力がもたない! あやうし、ユミコ!
 そのときだッ! ダンス・ハンサムが手に持っていたユミコの携帯が、ぴぴっと鳴った。音楽が乱れ、ステップも緩む。
「むむッ、なにごとだ」
*おれさま「ダンディ・サイバー・コントロール!」

 あやしい叫びが響くとともに、間髪を入れず音楽が途切れ、照明が落ちた。真っ暗闇のなか、バック・ダンサーたちは憑き物が落ちたように踊りをやめた。さしものダンス・ハンサムも、自慢のダンスを見せずして周囲を巻きこむことはできないのだ!
「こ、ここはどこだ」
「なにをやっているんだわたしは」
「うわあッ、この恥ずかしい全身タイツのようなものは……!」
 そこへ、ジャーッという音とともにあらわれたのは、スケボーに乗った少年である。さっきユミコに携帯電話を貸してくれようとした少年ではないか! もちろん彼こそ、我等がダンディVの一員、ダンディ・グリーンである。
 さあみんな、声をそろえてグリーンを応援しよう! グリーン、頑張れーッ!
*おれさま「よう、そのオバサンを返してもらいに来たぜ」

*Yumiko「オ、オバ……オバサンって誰!」

*おれさま「オレより年上の女はみんなオバサンだ」

 なんと無礼な小僧だッ! この小憎らしさがグリーンの魅力。気にせず応援しよう。グリーン、頑張れーッ!
「おまえはこのような混沌と無知、偶然という名を借りた怠慢の体現者を擁護するというのか!」
 相変わらず身もがきながら叫ぶクレバーを、グリーンはうんざりしたように見た。
*おれさま「我慢ならないってなら、自慢の頭脳で『バカを賢くする薬』でも開発しなよ。その方がよっぽど前向きだぜ? だいだい、あんたのそのザマの方が、よっぽどバカに見えるぜ」

 きぃぃぃぃっ、とクレバーは無気味な悲鳴をあげた。
「さあ、逃げるぞ、オバサン」
*Yumiko「誰がオバサンよ! あたしは逃げないわ、逃げたらオバサンって認めることになるものッ!」

*おれさま「……阿呆かこの女、マジで」

 照明が復活! 舌打ちするグリーンの前で、ふたたびダンス・ハンサムのダンス・パワーが炸裂だ。しかしグリーンも対抗して、スケボーの妙技を見せはじめたぞ。これこそグリーンが「一人X GAMES」と呼ばれる理由なのだ!
*おれさま「Come On! ダンディ号!」

 ダンディ号というのはグリーンのバイクの名前だ! 声紋を認識してグリーンの命令にだけ従うぞ! 抵抗するユミコをかっちょブーなダンディ号に乗せて逃走だ。もちろん無免許。
 しかしいい加減長いので端折るぞ! 逃げるグリーンとユミコに追いすがるハンサムたち。久しぶりにゴッドをはじめとするハンサム四天王も揃い踏み。おっと、クレバーは拘束衣だったので動けず、間にあわなかったようだ。追いすがるハンサムたちの前に、しかし、次々とダンディ戦隊の面々が立ちはだかる! 多勢に無勢と判断したゴッドの命令一下、ハンサム軍団は引き揚げた!
 レッドはグリーンの無免許、信号無視、その他を責めるが、グリーンは肩をすくめて受け流した。
*おれさま「ダンディってのは、お子様相手の商売じゃないだろ」


(※ヒーローものの番組では、どんなに急いでいても信号は守るのがお約束なんだゼ!)

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